新人看護師の事情

● 新人看護師が次々とやめていく

 新人看護師が1年も持たずに次々とやめていくケースが増え続けています。早くて数週間で辞表を出した後、一度も出勤せずに辞めてしまうこともあります。

 「念願かなって看護師になった!」
 「やっと憧れの白衣の看護師に」
 「患者さんのために頑張るぞ」

 過酷な看護師国家試験を乗り越えて、やっと念願の看護師になったばかりなのに、次々とやめてしまうのはなぜでしょうか。彼女たちを待ち受けていた困難と厳しい現実はどのようなものだったのでしょうか。
 辞めてしまった本人にも少し原因があるかもしれません。けれどもこれが全国的に起こっているならば、やはり組織、国全体で緊急改善処置が必要な問題でしょう。なぜ辞める状況になったのか。改善できるところはないか。サポートできることはないのだろうかということを考えていきたいと思います。

● 新人看護師が辞めたわけ

 「もう二度と病院で働きたくない」
 夢と希望、意欲あふれた看護師が辞めていくときそう思ってしまうそうです。辞めたいと思う主な理由は何でしょうか。「結婚・出産・スキルアップ」等、表向きにはその様な理由が挙げられていますが、「次の転職」に差支えがあるため、看護師がぎりぎりまで我慢して理由が出来たところで辞めるのが実情のようです。本音を探ってみると以下の原因が挙げられています。

 ・人間関係でいじめやパワハラに合った
 ・連日の残業、休日が取れないなどの労働環境への不満
 ・上司・勤務環境への不満
 ・仕事内容への不安や不満

 「人間関係」と「労働条件」「実力のなさへの不安」こういった理由が大きく締めています。中でも「人間関係」による苦痛で心身ともにぼろぼろになって辞めてしまったというケースが2割。インターネットで調べてみても、非常に激しいいじめやパワハラにあってつらい思いをした看護師がおられます。そして、いまだに苦しみ続けています。

● 理想と現実のギャップ

 看護師としてスタートしてすぐに「理想と現実のギャップ」を強く感じます。
 看護師学校で数多くの実習経験を積み、国家試験で基礎知識をしっかりと学んできたにもかかわらず、やはり現場に出ると「どうしたらよいかわからない」「緊急時に対応できるか不安」と、思うように実力を発揮できず苦しみます。

【難解な専門用語】

 その原因の一つになっているのが『専門用語』や『略語』。
 看護師学校で薬や病気の症状等、しっかりと学んできていても、現場では専門用語や略語を使ってやり取りをすることがほとんどです早口で言われる意味不明な単語の羅列に驚き、何をしたらいいのかわからず混乱してしまうことが多いといいます。

 「専門用語」「略語」が使われる理由の一つとして、「○○号室、先ほど亡くなられた」「エンゼルケアをよろしく」「状態が悪化して生命の危機。緊急対応の準備して」ということを患者さんの前で話すことが出来ません。ナースステーションで話していても、漏れ聞いた患者さんがショックを受けないとも言えません。そのため難解な隠語でやり取りが交わされるというわけです。
 
 新人の看護師さんにとって「今のわかりませんでした。もう一度一つ一つ教えてください」というのは、とても勇気のいることだと思います。わからなかった隠語は、メモしてしっかりと暗記する。一度教えてもらったことは、帰ってから復習して覚えることを積み重ねていきましょう。メモを取ることで先輩看護師にも「きちんと学んでいる」という意思を伝えることが出来ますから、ていねいにきちんと教えてくれるはずです。
 
 こうした用語や処置方法を覚えるのと同時に、患者さんと直接やり取りもこなさなければならないため、困惑と緊張感、不安で日々疲労困憊してしまいます。さらに課題やレポートもこなさなくてはならず、日々混乱の中過ぎていきます。
 「看護師になったら、患者さん一人一人の出会いを大切にしたい」
 「心をこめて一つ一つ丁寧なケアをしていきたい」
 「心の交流を大切にしたい」
 心の中の理想の看護師と、現実とのギャップに「もうもたない……」「辞めたい」と感じるそうです。

● プリセプターとの問題も

 「プリセプター制度」とは新人研修制度として、3年ほど先輩の看護師が「プリセプター」として選任指導者になり、マンツーマンで臨床実践を指導するシステムです。リアリティショックを緩和するために、新人の頃の悩みや苦労をよくわかってあげられるよう、先輩として支えとなり「悩み相談」もできる相手としてこのような制度が利用されています。
 けれども、この「プリセプター」との人間関係で非常に悩み苦しむ新人看護師もいます。人間ですから、苦手な相手や相性が悪い方がいても仕方がないのですが、それだけではなく、意図的な嫌がらせや過度な指導に苦しむ人もたくさんいます。

● 辞めるかどうか悩んだら

 「他の人と自分の感じ方にはズレがある。だから、対話が大切」
 認定看護師までになった看護師Kさん。新人の頃「できない」看護師としてレッテルを張られ、1年の研修期間を経た後、「一年もつと思わなかった」といわれたといいます。
 本人も必死に自分なりの努力を積み重ねましたが、同僚と比べて成長が遅く、辞めたいと何度も思ったそうです。一年ほど頑張ってみた後、「自分とほかの人とはギャップがある」「思っていても伝えなければ伝わらない」と気づき、それからは、自分から積極的に分からないことは聞き、話してコミュニケーションをとるようにしました。
 自分が積極的になってから、先輩も熱心に教えてくれたり話しかけてくれるようになり、以前のレッテルも気にならなくなり、乗り越えることが出来たといいます。
 
 【目標を持つことで変わることができる】

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 レッテルを張られ、つらかった新人時代。自分を支えたのは「こだわり」でした。
 自分の受け持ちの患者さんは軽度の認知症のある方でした。その方のお話をじっくりと聞いているうちに、家族のように名前を呼んで頼られるようになりました。「親身になって関わってほしい」そう患者さんが望んでいることに気づき、患者さんに頼られていることがうれしくそしてやりがいとなりました。
 新人時代に気づいた「患者さんやご家族に親身になって心を傾けるようにする大切さ」この精神は今も変わっていません。今では高齢者のケアにのめりこみ、高齢者医療の先駆者となるべく認定看護師になりました。
 看護師はつらいことが多いです。自信もなくなったり不安にもなります。けれどもそこであきらめてしまったら何もなりません。
 自分自身をあきらめないでください。新人の自分だからできないのは当たり前。そのぐらいに考えて「では、自分はなにができるようになりたいか」そう考えながら、患者さんや先輩方を見直してみましょう。
 きっとあなたがさらにレベルアップできる「一生をかけて学びたい何か」を見つけることが出来るはずです。それがあなたの新しい原動力となるでしょう。

引用:『看護師を辞めたくなったときに読む本』
 メディカ出版 Smart nurse Books 編集室編 ほかにも辞めたくなったとき、支えてくれる珠玉の言葉がたくさんあります。ぜひご一読ください。
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 きっと、「あの時はつらかった、大変だった」と笑って思い出せる日が来ます。つらいことはいろんな人に打ち明けて自分で抱え込まないようにしてください。きっと長いトンネルを抜ける日が来る。自分を信じてあげてください。
 

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